Thursday 27 December 2007

2007年潜り収め


フィリピンのアポ島にて2007年の潜り収めをしてきた。アポ島は、ネグロス島から小さな船(バンカ)で30分くらいの距離にある離れ島。リゾートも二つしかなく、交通も不便なせいか、セブやボホールに比べてダイバーが少ない。でもここの海、個人的にはフィリピンダイブサイトTop3に入る素晴らしさだと思っている。

まず、珊瑚が素晴らしい。ほんとに素晴らしい。ソフトコーラルもハードコーラルも健康的な状態で、それが島一面を取り囲んでいるのだ。あれだけのコーラルが育つまでに一体どれだけの年数がかかったのだろう。コーラルの外側はもちろん、コーラルの隙間を覗いてみると、そこにはエビ・カニ・小魚などたくさんの小さな生き物が住んでいる。魚も大きいものから小さいものまで、様々な種類を見ることが出来るし、地形も面白い。もっとこの海で潜り込みたい!と思わせる海だ。

こちらはお馴染みニモ。

一所懸命、ダイバーから
我が家を守っています。
 


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ハードコーラルの中には

こんな可愛いやつらも。





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一つのハードコーラルに
何種類ものエビ・カニが
住んでいます。



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素晴らしい珊瑚とはいえ、残念ながら白化減少を起こしている珊瑚もちらほら見られた。台風のせいなのか、根元からぽっきり折れて完全にひっくり返っているテーブル珊瑚などもあった。もちろんダイバーに蹴られて壊れた珊瑚も。何十年もかけて育った珊瑚が一瞬の出来事で壊れてしまうのかと思うととても悲しい。
 
2007年は、フィリピンをベースに、地中海、東京湾、太平洋東部、カリブ海と、さまざまな海を知ることができたよい一年。潜った本数は170本、これまでのトータル本数380本。まだまだこれからも海が面白くなりそうな気配。
 
 
***さかなプロフィール***
 
 
【和名】 カクレクマノミ
【英名】 False Clown Anemonefish
【学名】 Amphiprion ocellaris
【分類】 スズキ目スズメダイ科
【特徴】 1.オレンジの体に3本の白線。中央の白線は前に膨らんでいる。2.ハタゴイソギンチャクと共生し、イソギンチャクへの依存度は高い。
【分布】 奄美大島以南、西部太平洋。
【撮影】 フィリピン、アポ島
(「日本の海水魚」(1997)、"Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)
 
 
【和名】 コシオリエビの仲間だと思うが図鑑に載っておらず
【撮影】 フィリピン、アポ島
 
 
【和名】 サンゴガニ
【英名】 ?
【学名】 Trapezia cymodoce
【特徴】 1.中央部に赤い点。2.はさみ脚は赤く、上縁には濃赤色の波状線が数本入る。3.珊瑚に対する依存度は非常に高い。
【分布】 紀伊半島以南の南日本からインド・西太平洋。
【撮影) フィリピン、アポ島
(「エビ・カニガイドブック~伊豆諸島・八丈島の海から~」(2003)参照)

Friday 14 December 2007

コスタリカの風物詩



100匹は優に超えるネムリブカの夜狩りの様子。ココス島のネムリブカは、ナイトダイブをするダイバーのライトを利用して狩りをすることを学んだらしく、夜になるとすごい数のネムリブカが集まってくる。普段はとてもおとなしく、水底で休んでいることが多いネムリブカ。でもこの時だけはエサの魚を見つけたら見境なく攻撃に行くので、「間違って噛まれるといけないから近寄り過ぎないようね」とガイドから指示がでた。(たとえ見境なくても、故意に人間を襲ったりはしないのだ。)

このネムリブカ、英語ではWhitetipped Sharkといわれる。背ビレと尾ヒレの先端(tip)が白くなっているから。


昼間はこんな感じで休んでます。





今回のココス島ダイブでは、ネムリブカの調査をしているハワイ大学学生の依頼で行われた「ネムリブカの尾ヒレのDNAサンプル採集」というものに参加した。特製のハサミを利用して、ネムリブカの尾ひれを3㎝角くらい切り取るというものだ。 私は5匹ほどの尾ひれを切り取らせてもらった。

後ろから忍び寄るダイバー。

なんとなく殺気を感じる
ネムリブカ。

ごめんね・・・


ここのネムリブカはサメのくせに狩りが下手らしく、Black Jack(大型のアジ)という狩り上手にくっついて行き、おこぼれをもらっている風だった。このサメは、幸いなことに個体減少の危機には見舞われていない。その状態がこれからも続くことを祈るばかりだ。(「サメガイドブック」(2001) 参照)


***さかなプロフィール***

【和名】 ネムリブカ
【英名】 Whitetipped Reef Shark
【学名】 Triaenodon obesus
【分類】 メジロザメ目メジロザメ科
【特徴】 1.灰色~茶色、横は白い。2.第1背ビレと尾ヒレの先端が白い。
【分布】 インド洋、太平洋沿岸。日本は鹿児島以南、小笠原諸島。
【撮影】 コスタリカ、ココス島
(「日本の海水魚」(1997)、"Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)

Tuesday 11 December 2007

伊豆のトラ


伊豆の海で見たトラウツボ。フィリピンでは見たことがない鮮やかなウツボなので、伊豆で初めて見たときはかなり感激したのだけど、伊豆ではかなり一般的なウツボらしい。いろんな種類のウツボがいるけど、写真のように「ウギャー」と口を大きく開けているウツボ遭遇率はかなり高い。

 

同じく伊豆のトラ。

迫真の「ウギャー」。




 


  
そしてコスタリカでも

「ウギャー」。


 
 

こちらは少し控えめに
 
「ウギャ」。


 



  

このウギャー行動、「自分より大きいものに対する威嚇」などと説明されていることもあるけど、専門書(注1)によれば、ただ純粋に口からエラへ水を通すことで呼吸をしているらしい。中にはもはや口がきちんと閉まらないウツボもいる。鋭い歯があるため、「噛まれたら危険な生物」と言われるが、もともとは臆病な性格で、自ら人間を襲ってくるようなことはないという。そういえばトルコのダイブガイドは素手でウツボをなでて、「ウツボって、結構遊び好きなんだよ」などと言っていた。

とはいえどんな優しいウツボであろうとも、むやみやたらに構われたら威嚇のウギャーをするだろうし、攻撃もしてくるだろう。実際、トルコのダイブガイドの弟子は、師匠の真似をしてウツボに噛まれたらしい・・・。ウツボもさぞかし迷惑だっただろう・・・

(注1) "Reef Fish Identification, Tropical Pacific"(2003) 参照


***さかなプロフィール***

【和名】 トラウツボ
【学名】 Muraena pardalis
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 1.顎が湾曲して完全に閉じられない。2.後鼻孔も前鼻孔同様、管状になっている。
【分布】 南日本(沖縄島以南を除く)、インド・太平洋域
【撮影】 伊豆半島、八幡野
(「日本の海水魚」(1997) 参照)

【英名】 Finespotted Moray
【学名】 Gymnothorax dovii
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 オリーブ色~濃褐色
【分布】 コスタリカ、パナマの太平洋沿岸、エクアドル南部。カリフォルニア湾やメキシコの太平洋沿岸ではまれ。
【撮影】 コスタリカ、ココス島
("Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)

【和名】 ウツボ
【学名】 Gymnothorax kidako
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 近縁のミナミウツボとは、白色のシリ鰭縁辺を持つことで区別。
【分布】 琉球列島を除く南日本、台湾。
【撮影】 伊豆半島、八幡野
(「日本の海水魚」(1997) 参照)

Monday 10 December 2007

海のナメクジは侮れない。



英語ではSea Slug(海のナメクジ)などとも言われるウミウシたち。確かに色鮮やかな熱帯魚や迫力満点のサメなどに比べたら、小さいし動きも少なくて、海の中では存在感の薄い彼ら。でも写真のウミウシを見てわかるように、彼らの体のデザインには本当に個性的で美しいものが多い。ピカチュウみたいなウミウシや大福餅みたいなウミウシもいたりする。

このウミウシもコスタリカのココス島で見たものだけど、ココス島はフィリピンに比べてウミウシの種類も数も全然少なかった。しかも潮の流れが強いせいか、前方にひょこりと見える二本の触覚が、下の写真のように後ろになびいてしまっていた・・・




 
「強いカレントに立ち向かうウミウシ」の図。
 
がんばれ!
 
 
 
 
 
このウミウシ、残念ながら私の手元にある4冊のウミウシ図鑑にはどれにも載っていない。私の印象では、ウミウシって新種発見と研究の余地がまだまだ残っている分野だと思われる。彼らの生態はなかなか興味深いことがたくさんあるので、徐々に紹介していく予定だ。

Sunday 9 December 2007

上目遣いのハタ子



海に潜り始めて最初に気になり始めた魚の一つ、それは「ハタ」。たいがい珊瑚や岩の上で、胸ビレを支えにして休んでいる。ダイバーが近づくと、姿勢はそのまま、目だけキョロリと動かして、「む、何か来た・・・」とこちらの様子を伺う。その視線がまさに女の子の上目遣いのようで憎らしい。



ダイバー発見。








「む、来たな」の表情。
慌てすぎたのか、こいつは上目遣いというより
若干すっとんきょうな顔になっている・・・
 
 
 
 
 
ダイバーがある一定の距離を置いてそっと見ている限り、警戒はしつつも座り続けているけど、こちらがちょっとでも不穏な動きを見せた瞬間、ササーッと逃げてしまう。でも恐らく、臆病度はハタ科の中でも種類によって差があると思われる。写真のこのヒトは割りと肝が据わっている感じ。
 
ちなみに写真のハタはFlag Cabrillaというハタ。コスタリカのココス島には割と普通にいた。日本の図鑑には載っていないので日本にはいないのだろう。今度、真の「上目遣い写真」が撮れたら、ぜひ紹介したいと思う。
 
 
***さかなプロフィール***
 
【英語名】 Flag Cabrilla
【学名】 Cabrilla Piedrera
【分類】 スズキ目 ハタ科
【特徴】 1.白く大きなシミ模様に小さな斑点。2.尾ひれの上部に黒い斑点あり。
【撮影】 コスタリカ、ココス島
("Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)

Saturday 8 December 2007

すべてはモアルボアルで始まった。


2004年8月14日、フィリピンのモアルボアルで私のダイビング歴は始まった。(ライセンス自体は98年にタイで取得したけど、講習で3回潜っただけなのでこれはカウントしないことに。)

今やすっかり海に魅了された私も、当時はそんなにダイビングが好きじゃなかった。機材は重いし中性浮力は取れないし、海の中でいっぱいいっぱいになっちゃうから落ち着いて海を楽しむ余裕もない。雨が降れば潜りたくないし、風が吹いても潜りたくない。緊張して水面下でパニック状態になったこともあった。

あれから3年半。今は、毎日海に潜りたくて潜りたくてたまらない。海の中って、ほんとにいろんなことが起きている。そしてどのダイブも、毎回必ず新しい発見がある。魚にはいろんな表情があり、海もその時々で様子を変える。だからこそ、同じ海に何回潜っても、飽きるということが決してない。

このブログでは、そんな海の様子を少しずつ記録していこうと思う。これを読んで海を好きになる人が1人でもいてくれたら、私はとっても嬉しいのだ。