Friday 16 May 2008

ココス特集~まえがき~




さぼっていた海の話、再開します。

まずは去年の11月に行ったココス島特集をやろうかと。
ココス島は太平洋東側、ガラパゴス島と同じ並びにある離れ島です。有名なのはハンマーヘッドシャーク(アカシュモクザメ)。
流れの強い海域で、中・上級向けの海です。

結果からいうと、ハンマーたくさんいました。
そして他の魚もたくさん群れていました。
フィリピンのダイビングポイントに「Diver's Heaven」というところがあるけど、ココスは「Fish Heaven」だなという感じ。(実際はやっぱりいろいろ問題もあるみたいですが。)

というわけで、ハンマーヘッドのこと、その他のサメ、魚のこと、海のこと、10日間海を共にしたダイバーたちのことなどを、これからちょっと綴ってみます。

Friday 22 February 2008

小さな人気者ピグミー



ダイバーに人気のピグミーシーホース。「Pygmy=アフリカに住む小さい民族(ピグミー族)から、“ごく小さい”という意味」 + 「Sea Horse=タツノオトシゴ」で、その名の通り、とても小さいタツノオトシゴだ。住処のウミウチワに驚くほどそっくりな体をしているのでとても見つけにくい。実際このピグミーも、「このウチワに住んでいる」ということがわかっていたにもかかわらず、見つけ出すのに20分はかかった。ピグミーの大きさは2cm足らず。

マクロ(小物)好きのダイバーなら一度は見たい!という人気の高さ。それ故に、心無いダイブショップが、ピグミーを本来の住処から自分のダイブショップ近くの海に動かしてしまうこともあるらしい。あれだけ上手にカモフラージュしていることから考えても、ピグミーは外敵にとても弱い生物だと思われる。住処を勝手に変えられたピグミーが、新しい住処に上手にカモフラージュして生きていけるのだろうか。




尾でしっかりウミウチワにつかまって
チコチコ動いている。





 
このピグミーはマクロ生物で有名なアニラオ(フィリピン)で出会った。喜んだ夫が、ピグミーの何百倍もあるかと思う大きなカメラで写真を撮りまくったので、きっとピグミーもフラッシュに目がくらんだことに違いない。今度からは、一匹の生物に対する撮影枚数をもっと減らすように夫にお願いしなくては。
 
 

***さかなプロフィール***
 
【和名】 ?
【英名】 Pygmy Seahorse
【学名】 Hippocampus bargibanti
【分類】 トゲウオ目ヨウジウオ科
【特徴】 1.ピンクの小さい体に、大きい突起。2.単体、もしくは小さなグループで生活。
【分布】 日本南部、インドネシアから北オーストラリア、ニューカレドニア。
【撮影】 フィリピン、アニラオ
(「日本の海水魚」(1997)、"Reef Fish Identification, Tropical Pacific"(2003) 参照)

Thursday 21 February 2008

Wreck Dive ~沈船ダイブ~



これはダバオの海に沈む、第二次世界大戦時の日本の戦艦。フィリピンの海にはかなりの数の日本戦艦が沈んでいて、そのうちの20艘くらいはダイビングで見ることができる。私も10艘くらい潜ってみた。
 
でも実を言うと、私は沈船を見てもあまり何も感じないのだ。歴史に関する感動が鈍いらしい。沈船好きの夫は、船の中のボイラーなどを見て感動しているけど、私はボイラーから何を感じ取っていいかよくわからず、「あ、ボイラーだ」でおわる。
 
あえて沈船ポイントのよさを挙げるとしたら、その雰囲気だろうか。フィリピンの沈船ポイントは水の透明度も悪く、魚が豊富に住んでいるわけでもない。暗くてひっそりとした海に、巨大な船体が沈み、船内には何十年もかけて積もった細かい砂がたまっている。下手にフィンを動かすと砂が舞って周りが何も見えなくなるのだ。
 
 
不思議な雰囲気。
こうやって見ると
沈船も悪くない。

    
  
 


船尾のプロペラ。
男達はここに
ロマンを感じる・・・らしい。


 

 

一見、沈船の周りにはほとんど生き物がいないように思えるけど、船の壁にはびっしりと生物がくっついている。特に太平洋は他の海に比べても有機的で、生物の数も種類も豊富だ。第二次世界大戦の戦艦は、フィリピンの魚や海の生物たちの貴重なホームベースとなっている。

Saturday 16 February 2008

念願のフリソデ



のんびりしていたらすっかり2月になってしまった。2008年の潜り始めはフィリピン、ミンダナオ島のダバオ。結婚一周年の記念ダイブでもある。

ダバオの海は、モアルボアル、ボホール、アポなどに比べると珊瑚も魚もそれほど派手ではない。けれど、他の海ではあまり見かけることのない魚たちがいて、私は結構興奮した。そしてその興奮の頂点がこのフリソデエビ。その名の通り、ハサミの部分が振袖のようになっていて本当に綺麗。ずっと見たいと思っていたこのエビ、ダイブ381本目にしてようやく出会うことができたのだった。

しかも2ペアも!


こちらのペアは
一匹が逆さまになっていた。

10分くらい観察してたけど
全然飽きない美しさ。



「フリソデエビは恥ずかしがり屋で、穴の奥や石の影などに隠れていて見つけいくい」と聞いていたが、ダバオのフリソデたちは結構堂々としていた。写真を撮ってもそれほど逃げない。セブなどに比べダイバーが少ない海だから、人を怖がらないのかな。


こちらは
結婚記念ということで奮発した
Pearl Farm Beach Resort。



 
 

ダバオでは2日で5本潜った。フリソデエビのスタートなんて最高の潜り始め。今年も一杯潜るぞ。
  
  
***さかなプロフィール***
 
 
【和名】 フリソデエビ
【英名】 Harlequin Shrimp
【学名】 Hymenocera picta
【分類】 フリソデエビ科
【特徴】 ヒトデを食する。食べるヒトデの色により、体色が変わるらしい。
【分布】 駿河湾以南の南日本を含むインド・太平洋。
【撮影】 フィリピン、Samal島(ダバオ近郊)
(「エビ・カニガイドブック2」(2006) 参照)

Thursday 27 December 2007

2007年潜り収め


フィリピンのアポ島にて2007年の潜り収めをしてきた。アポ島は、ネグロス島から小さな船(バンカ)で30分くらいの距離にある離れ島。リゾートも二つしかなく、交通も不便なせいか、セブやボホールに比べてダイバーが少ない。でもここの海、個人的にはフィリピンダイブサイトTop3に入る素晴らしさだと思っている。

まず、珊瑚が素晴らしい。ほんとに素晴らしい。ソフトコーラルもハードコーラルも健康的な状態で、それが島一面を取り囲んでいるのだ。あれだけのコーラルが育つまでに一体どれだけの年数がかかったのだろう。コーラルの外側はもちろん、コーラルの隙間を覗いてみると、そこにはエビ・カニ・小魚などたくさんの小さな生き物が住んでいる。魚も大きいものから小さいものまで、様々な種類を見ることが出来るし、地形も面白い。もっとこの海で潜り込みたい!と思わせる海だ。

こちらはお馴染みニモ。

一所懸命、ダイバーから
我が家を守っています。
 


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ハードコーラルの中には

こんな可愛いやつらも。





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一つのハードコーラルに
何種類ものエビ・カニが
住んでいます。



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素晴らしい珊瑚とはいえ、残念ながら白化減少を起こしている珊瑚もちらほら見られた。台風のせいなのか、根元からぽっきり折れて完全にひっくり返っているテーブル珊瑚などもあった。もちろんダイバーに蹴られて壊れた珊瑚も。何十年もかけて育った珊瑚が一瞬の出来事で壊れてしまうのかと思うととても悲しい。
 
2007年は、フィリピンをベースに、地中海、東京湾、太平洋東部、カリブ海と、さまざまな海を知ることができたよい一年。潜った本数は170本、これまでのトータル本数380本。まだまだこれからも海が面白くなりそうな気配。
 
 
***さかなプロフィール***
 
 
【和名】 カクレクマノミ
【英名】 False Clown Anemonefish
【学名】 Amphiprion ocellaris
【分類】 スズキ目スズメダイ科
【特徴】 1.オレンジの体に3本の白線。中央の白線は前に膨らんでいる。2.ハタゴイソギンチャクと共生し、イソギンチャクへの依存度は高い。
【分布】 奄美大島以南、西部太平洋。
【撮影】 フィリピン、アポ島
(「日本の海水魚」(1997)、"Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)
 
 
【和名】 コシオリエビの仲間だと思うが図鑑に載っておらず
【撮影】 フィリピン、アポ島
 
 
【和名】 サンゴガニ
【英名】 ?
【学名】 Trapezia cymodoce
【特徴】 1.中央部に赤い点。2.はさみ脚は赤く、上縁には濃赤色の波状線が数本入る。3.珊瑚に対する依存度は非常に高い。
【分布】 紀伊半島以南の南日本からインド・西太平洋。
【撮影) フィリピン、アポ島
(「エビ・カニガイドブック~伊豆諸島・八丈島の海から~」(2003)参照)

Friday 14 December 2007

コスタリカの風物詩



100匹は優に超えるネムリブカの夜狩りの様子。ココス島のネムリブカは、ナイトダイブをするダイバーのライトを利用して狩りをすることを学んだらしく、夜になるとすごい数のネムリブカが集まってくる。普段はとてもおとなしく、水底で休んでいることが多いネムリブカ。でもこの時だけはエサの魚を見つけたら見境なく攻撃に行くので、「間違って噛まれるといけないから近寄り過ぎないようね」とガイドから指示がでた。(たとえ見境なくても、故意に人間を襲ったりはしないのだ。)

このネムリブカ、英語ではWhitetipped Sharkといわれる。背ビレと尾ヒレの先端(tip)が白くなっているから。


昼間はこんな感じで休んでます。





今回のココス島ダイブでは、ネムリブカの調査をしているハワイ大学学生の依頼で行われた「ネムリブカの尾ヒレのDNAサンプル採集」というものに参加した。特製のハサミを利用して、ネムリブカの尾ひれを3㎝角くらい切り取るというものだ。 私は5匹ほどの尾ひれを切り取らせてもらった。

後ろから忍び寄るダイバー。

なんとなく殺気を感じる
ネムリブカ。

ごめんね・・・


ここのネムリブカはサメのくせに狩りが下手らしく、Black Jack(大型のアジ)という狩り上手にくっついて行き、おこぼれをもらっている風だった。このサメは、幸いなことに個体減少の危機には見舞われていない。その状態がこれからも続くことを祈るばかりだ。(「サメガイドブック」(2001) 参照)


***さかなプロフィール***

【和名】 ネムリブカ
【英名】 Whitetipped Reef Shark
【学名】 Triaenodon obesus
【分類】 メジロザメ目メジロザメ科
【特徴】 1.灰色~茶色、横は白い。2.第1背ビレと尾ヒレの先端が白い。
【分布】 インド洋、太平洋沿岸。日本は鹿児島以南、小笠原諸島。
【撮影】 コスタリカ、ココス島
(「日本の海水魚」(1997)、"Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)

Tuesday 11 December 2007

伊豆のトラ


伊豆の海で見たトラウツボ。フィリピンでは見たことがない鮮やかなウツボなので、伊豆で初めて見たときはかなり感激したのだけど、伊豆ではかなり一般的なウツボらしい。いろんな種類のウツボがいるけど、写真のように「ウギャー」と口を大きく開けているウツボ遭遇率はかなり高い。

 

同じく伊豆のトラ。

迫真の「ウギャー」。




 


  
そしてコスタリカでも

「ウギャー」。


 
 

こちらは少し控えめに
 
「ウギャ」。


 



  

このウギャー行動、「自分より大きいものに対する威嚇」などと説明されていることもあるけど、専門書(注1)によれば、ただ純粋に口からエラへ水を通すことで呼吸をしているらしい。中にはもはや口がきちんと閉まらないウツボもいる。鋭い歯があるため、「噛まれたら危険な生物」と言われるが、もともとは臆病な性格で、自ら人間を襲ってくるようなことはないという。そういえばトルコのダイブガイドは素手でウツボをなでて、「ウツボって、結構遊び好きなんだよ」などと言っていた。

とはいえどんな優しいウツボであろうとも、むやみやたらに構われたら威嚇のウギャーをするだろうし、攻撃もしてくるだろう。実際、トルコのダイブガイドの弟子は、師匠の真似をしてウツボに噛まれたらしい・・・。ウツボもさぞかし迷惑だっただろう・・・

(注1) "Reef Fish Identification, Tropical Pacific"(2003) 参照


***さかなプロフィール***

【和名】 トラウツボ
【学名】 Muraena pardalis
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 1.顎が湾曲して完全に閉じられない。2.後鼻孔も前鼻孔同様、管状になっている。
【分布】 南日本(沖縄島以南を除く)、インド・太平洋域
【撮影】 伊豆半島、八幡野
(「日本の海水魚」(1997) 参照)

【英名】 Finespotted Moray
【学名】 Gymnothorax dovii
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 オリーブ色~濃褐色
【分布】 コスタリカ、パナマの太平洋沿岸、エクアドル南部。カリフォルニア湾やメキシコの太平洋沿岸ではまれ。
【撮影】 コスタリカ、ココス島
("Reef Fish Identification, Baja to Panama"(2004) 参照)

【和名】 ウツボ
【学名】 Gymnothorax kidako
【分類】 ウナギ目ウツボ科
【特徴】 近縁のミナミウツボとは、白色のシリ鰭縁辺を持つことで区別。
【分布】 琉球列島を除く南日本、台湾。
【撮影】 伊豆半島、八幡野
(「日本の海水魚」(1997) 参照)